白いダリアと蒼い薔薇 扉 3















「・・・へ?」



目を開けて最初に見えたのは白い天井だった。

もしかして全部夢だったのかと辺りを見回すと自分の部屋とは似ても似つかない落ち着いた感じで外国風の部屋。

いくら私が必死で片付けしたってこうはなるまい。

っていうか窓から二つのコンテナ、まだ見えてます。


ということは。








やっぱり夢でした☆説0%。

私の酷い妄想説・・2%。


あら不思議v異世界トリップ説・・・98・・・・・・%?






「気分はど「ぎゃあぁああっ!?!」

突然声が掛けられて思わず叫ぶ。ていうかアレ?さっき部屋に誰もいなかったよね?

そろそろと声がしたほうを向くと・・・いた。


「ソ、ソロモンさん・・・」

「ソロモン、で良いですよ。驚かせてすみません。突然倒れられたので部屋まで運びましたが・・・宜しかったでしょうか?」

「いえ、むしろわざわざすみません!ご迷惑をおかけして・・・」

何処にでもありそうな在り来たりの会話。・・・は表面での話で、実際、はすっかり浮かれていた。


・・・だって、だってあのソロモンが!自ら呼び捨て許可くれたんだよ!?ああ駄目だ、顔が緩む!!


「元気そうで良かったです。しかし・・・まだ顔色が悪いようですね。何か飲み物を持ってきますから少し待っていて下さい」

「え?あの・・・」

バタン。

・・・行っちゃった。まあいいか。

これで心置きなくソロモンの部屋を漁れるってことだしね!←最低

さってとまずは写真、写真っと・・・おお、これがあの有名(?)な!うわ、格好良いー!







ソロモンが去るやいなやベッドから抜け出し部屋の中を物色し始める。傍目から見れば不審者そのものだが気にしない。

と、三十秒もしないうちにドアがノックされた。



「あ、はいどうぞ?」


顔を上げつつ応えた・・のだが。 何かおかしいような。








――――いくらなんでも帰ってくるのが早すぎるし・・この部屋ってソロモンのだよね?

自分の部屋に入るのにノックする必要ない、よね?






これはつまり・・・誰か違う人が来てる訳で・・・私はそれに返事までしちゃったわけで。

あれ、これって軽くヤバい状況?


せめてヴァンでありますように・・・!








ガチャリ、と音がして慌ててドアを見るとすでにその人物は部屋に入っていて、見た瞬間には凍りついた。





「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・;」





ひいいいい!?カールじゃん!!(しかもファントムver.!)

なんで部屋の中なのに仮面つけたまま・・・・ってそれはどうでもいい!


「あ、の・・・・・・・・」

なんでもいい!今まさにカールの額に浮かんでる青筋を消す言い訳・・・!

「貴様・・・・・・何者だ!」

・・・駄目だー!何故かものすごくお怒りになっていらっしゃるーー!!


こっ・・殺される!

カールが右手を振りかぶったのを見、せめて惨劇を見ないようにと、堅く目を瞑った。






「・・・っ!!!」

すごい音がして、一瞬の後に背中に耐え難い痛みを感じた。

恐る恐る目を開くと、カールから伸びた翼手の腕が私を壁に磔にしているのが辛うじて分かったぐらいだった。

足は床から30センチほど上。なんか変な気分・・・


・・・って冷静に分析してるけど実際のところ、かーなーり、苦しい!苦しすぎる!!

喉がヒューヒュー鳴るなんて漫画の中だけだと思ってたけど・・

そうでもないんだね!(あれ、これってアニメの中だっけ?)


「・・・っぁ・・!」


声が出ない!ていうかいきなり攻撃とか酷いよ!まるで私が不審・・や、確かに不審者だったけど。

ソロモンの軍服姿に目をキラキラさせてましたけど!

・・・はっ!? もしかして、その怪しげなオーラを感じ取られた?

あ、あり得る・・・



・・ってあれ、カールの後ろにソロモンが見える。遅れて登場って訳か。

(あっちゃー(−”−;))的な顔でたたずんでるけどさ、とりあえず助けてくれないかなあ?


まあ、私がここで死んだって、ソロモン的には別になんとも思わないんだろーけどさ。

私だって痛いのは嫌だし、死ぬなんてもっての外な訳ですよ。












・・・・・・・・・・よし。 やりますか。







「た・・・すけて、ソロモン!」


秘技、二 重 人 格 !!(?)

ふふ、この捨てられた子犬のような目を見よ!

視線はソロモン!

弱々しげな息遣い!(これは本物だけど)


これを見たら誰だって助けずにはおれまい!ましてやソロモンならなおの事!








・・ぅお? 締め付けが弱くなった。・・・ああ、カールが後ろ向いたのね。

てか今頃気付いたのか。

まったく・・・シュヴァリエたるもの常に背後に気を配れよ。


「ソロモン・・これは何だ!何故こんな所にいる!?」


あーあー怒っちゃって。

・・・ん?”これ ”って。モノ扱いかよ?!

ぐあーーーームカつく!!!



「・・・実験体の奴か?」

「いいえ、調べてみましたけれど該当しませんでした。

 彼女・・は何故か、玄関の前で倒れていたんです。

 怪しい人ではないので、そろそろ降ろしてあげませんか?」


さすが!やんわりとなだめてくれた!

でもカール・・・一般人の前で「実験体」とか言わないで欲しいなあ。

まあいいか。降ろしてもらえたし。まだごっつう睨まれてますけど。

なんだ。何がそんなに気に入らないんだ。・・・・やっぱオーラ?









そういえば・・・さっきソロモン、「調べてみた」とか言ってたな。


当然だけどこの世界に私が住んでた家とかは無いよねぇ。

・・・じゃ、調べられても”戸籍無し ”になるのかな?

いや、戸籍どころか存在すら無かったと思うし、下手に住んでた場所とか言っちゃったら墓穴掘りそう・・・


うーーん・・・・まあ、こういう場合に都合がいい言い訳といえば。







「カール。そんなに睨むことは無いでしょう。ほら、腕も直して。

 何処から来たか分かればすぐにでも送り届けたらいいんですから・・」


「・・・・・あのう・・?」


「? 何でしょう」







「私、何処から来たか、全然覚えてないんですけど・・・・・」


「・・・え?」










とりあえず。戸籍やらを誤魔化すために、


自分の名前



国籍

基本的な生活上の知識


以外はほとんど覚えてなくて、気がついたら森の中でした☆ってことにしました。





・・・信じて、くれたのかな?





少なくとも、カールは信じてなさそう。ていうかまだ睨まれてる〜・・・

ソロモンは・・まだまだ聞き足りない!って顔だな。うわ、めんどい・・・・・






気まずい沈黙。

と、おもむろにソロモンが発言!




「さて。話も長くなりそうですし、一度一階に降りてゆっくり話しませんか?」










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