白いダリアと蒼い薔薇 扉 2
「館・・・?」
森を抜けた、ひらけた場所にででんと建っていたのは大きな外国風の館だった。
現実世界では見たことない。
でも、絶っっっ対、見たことある!・・ってことは私、運良く(?)知ってる別世界に来たわけだ。
やったね私!!
・・・で、何の作品だったっけ?
作品を思い出そうとうんうん唸っていて、ふと後ろに何かが置かれているのが目に留まった。
もしやこの世界の手がかり?!と意気込んで振り返るが、そこにあったのは、館にはそぐわないであろう、何の変哲もない只のコンテナ2つだった。
・・・・ってえ?ええ?! コンテナ2つぅ?!!そ、それってまさか・・・これに入ってるのって・・!
「ディ・・・・・・・・・・、ディスティニー?」
・・・いえね。 決して作品とかキャラとかを勘違いしたわけじゃございませんよ?ただ・・・
・・・ただ、私が「ディ」まで言ったとき・・・なんだか後ろから、カサッて音が・・・聞こえた気が。
・・・・・人?
え、ここってジャングル・・・パラダイスとかいうタイトルの時の辺りの舞台だよね?
登場したのって・・ほとんどヒト以外だった・・ような。
・・・・っや、 やばいやばいやばいやばいやばいってこの状況!!!死ぬ!絶対確実に殺される!!
い、いや落ち着け私!
ゆっくり! そう、ゆっくり振り向くんだ!!
ゆっくりゆっくり・・・・・・って、うぉわぎぃゃああーーーー!!!
振り返った先にいたのは・・・ソロモンだった。なんだコイツ、みたいな表情の。やっぱディーヴァって発音しなくて良かった・・・!
真っ先に、殺される、と思ったけど数秒経っても何も起きなかった。・・・あれ?
「あ・・・え、ええと。・・ど、どちら様でしょうか?」
「・・・ソロモンと申します。 ・・貴女の名前を伺っても?」
しまったぁ!緊張のあまり初めに名乗るの忘れた上に向こうから名乗らせちゃったよ?!
私・・・何様?!ていうか生でソロモンが喋ったー!
「す、すみません名乗りもしなくて!私、と申します!!」
「日本人・・・ですか?」
あ、微かにピクッて動いた。・・・小夜のことでも思い出したのかな?
「はい、そうです。 あのー、つかぬ事を伺いますが、ソロモンさん・・・はいつからここに?」
「つい先ほど着いたばかりですが・・さんはどちらから?」
女の子が一人で外国の、しかもこんな所にいることを不審に思ったのだろう。
しかしはそんなことにまで頭が回らなかった。
「(う、うわーー!!!あ、あのソロモンが私の名前呼んだ・・!)・・・ええと、森から来ました!」
「え・・ 森、ですか?」
「そう、森・・・・・・・・あ」
あきらかに怪訝な顔をするソロモン。
それに気付いたときには時既に遅く、二度もしっかりはっきり森だと答えてしまってから、は青ざめた。
森からとか・・・何正直に答えちゃってんの?!確かに森から来たけどさ。
いっその事森に住んでますとか・・ああ駄目だ、そんなのが通用する相手じゃない。
ああ、どうしよ・・う゛・・っ!?
「・・っ!!!」
「さん? 大丈夫ですかっ?!」
また来た!なんなんだよ一体!!
しかもおさまらないし!
ああ、ソロモンが歪んで見える・・・
そこから、の意識はぶつりと途切れた。
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