白いダリアと蒼い薔薇 扉 1
ガチャリ
ドアを開けた。
「はー今日も一日疲れたぁ〜。さっさと寝、・・・
ざくっパキンッ
・・・・・・・パキン?」
・・・何かを踏んだ。見ると肥沃な大地に落ち葉に雑草に小枝。
なーんだ小枝か。慌てて損し・・・
・・・・・小枝?
ふ、と。前を見る。
鬱蒼とした、随分と深い木々が延々と。
壁は・・・見当たらない。
上を見上げる。
木々の向こうに辛うじて見える青空を、見たことも無い怪鳥が横切っていった。
ちなみに今は真夜中の筈で・・・
天井がなくなっただけ、という訳ではない。
改めて右手を見てみた。
確かに握っているのは―――――自分の部屋のドアのノブ。
いっそのこと、こんなドアなんて無くなってしまえば、まだ信じられただろうに。
ああ、一体何時から。
・・・私の部屋は森になったのですかっ?!
---★---
約一時間後。
私はでっかいボストンバッグを背負って、
木漏れ日差し込む森の中をざくざくと歩いていた。
何でいきなりこうなったかって?
理由は・・・特にない。
あえて言えば、この森は絶対どこかに繋がってるんじゃないかって気がした。
まあそれぐらいのもの。
でも、思い立ったことはとりあえずやってみる性格だし、迷いは無かった。
・・・ところで、この森は何処の森なんだろう?
あわよくば漫画とか、アニメとか、私が知ってる異世界がいいな!
異世界トリップ万歳!!
そうでなかったとしても・・・ま、どうにかなるだろ多分。
これで全部夢でした☆なーんてことだったら絶対泣くよ私。
――― 夢、か。
夢小説みたいな展開って、こんなことを言うのかな。
だとしたら・・・
絶対私、ヒロインっぽくない。
動きやすいTシャツにズボン。
タオルと、水分補給のためのペットボトルじゃ終わらない。
肩に背負ったボストンバッグの中には生活用品その他がみっちり詰まっているのだ。
食料とー、薄手の毛布とー、傘とー、着替えとー、洗顔セットとー、携帯とー、コンタクトにー、あ、あと漫画。
漫画だけはあんまり入ってない。なんとも不運なことにその大半が私の部屋にあるから。
枕も持って行こうと思ったけど、バッグに入んなかった(泣)
まあ、確かに急にトリップ?!とかだったらそんな余裕無かっただろうけど。
しばらく置いといても消えなかったんだよね、森とドア。
そのくせ準備ばっちりして、森に入って、ドアを閉めたら消えるし。
まったく、ど○でもドアかっての。
で、歩き続けて来た訳だけれども。
なんだか向こ――――――――うの方に、建物が見える。気がする。
もしかして、どんな世界なのか判断できるかも!
しかし走り出そうとした刹那、それを阻むように頭を、鋭い痛みが襲った。
視界が歪み、その場に膝をつく。
頭がくらくらする。
気持ち悪い。
「!!・・う゛・・・・・い゛・・ったぁ・・・ってアレ?」
しかしそれも一瞬のことで、数秒後には正常に回復していた。
「・・・?・・・・・ま、いっか。」
走るのは止めておいて普通に歩く。
何分かして、建物の全貌が見えてきた。そしてそれと同時に森はなくなり、ひらけた場所に出る。
「・・・・あ」
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