白いダリアと蒼い薔薇 蜜 8
「・・・元々の予定では、さんにはこのあと、サンクフレシュ本社内で生活してもらうことになっていたのですが・・・
・・・その事によって少々変更がありまして。行動できる範囲が極端に狭くなります」
「・・・・・と、言うと?」
「本社内であることに変わりは無いのですが・・・最上階の空中庭園周辺、になる予定です」
空中庭園?・・・ってまさか・・・
某歌姫とか某翼手の女王とか某ディーヴァとかがいるあそこですかー!?
あー・・・嫌な予感がひしひしとする・・・
なんだか知らないけど、取り敢えず私はディーヴァに『気に入られ』てしまったらしい。
「おいしそう」とか言われたし、絶対気に入られたのは中身、だろう。
正直、自分の血にそんな魅力があるとは到底思えないんだけど・・・不思議だ。
状況としては動物園でのリクと同じポジションなんだろうけど、私は生憎と助けに来てくれる組織に属してる訳じゃないし、
むしろこっち側な訳で。身元、戸籍どころか存在すら不明の私はさぞかし扱いやすいんだと思う。
でもこのままで行くと、間違いなく、間違いなく!
ディーヴァと会う
勢い余って殺される
〜終☆了〜(人生的な意味で)
・・・あり得る。
むしろそうなる方が自然だと思う。
アニメや漫画で見る限り、彼女は素で加減というものを知らないみたいだし、姉以外のものに対する執着も極端に薄い。
単に「ディーヴァに気に入られたから」という理由だけで彼女に引き渡されればどうなるかなんてわかりきってる。わかってる、んだけど。
(・・・逃げ場所なんて、無い)
うまく外に出してもらえて、偶然赤い盾側の人を見つけて接触できたとしても、所詮私は敵なのだ。
スパイと見なされて拘束されて尋問か、運が悪ければそのまま殺される可能性だってある。
ディーヴァ側は作中で極悪非道に描かれていたけど、目的のために手段を選ばない所は赤い盾だって一緒な訳で。
つくづく、嫌なポジションにはまってしまったものだ、と思う。
ソロモンのCEOの地位がなかったらやっぱりきつかったんじゃないだろうか。
・・・今まさに、そのソロモンのせいでこんなやばい状態に陥ってるんだけどね!
「生活に必要な設備や備品は全て整っているので・・・欲しい物があったら取り寄せますし、不便は無いと思います」
「はあ・・・わかりました」
「え、大丈夫ですか?何か要望があるなら遠慮無く言ってくれて構わないんですよ?」
素直に了解すると逆に驚かれた。
強制していると思って欲しくないんだろうけど、私としては、あの空中庭園にディーヴァと二人きりにされる(であろう)時点で死亡フラグが一気に2、3本立った気分なんで、欲しい物とか、そんな気分じゃないんだよ・・・
欲しい物・・・・・外出許可、とかでもいいのかな。
フランス観光、してみたいしなー・・・ディーヴァに殺されずに生きてたら、って意味だけどね・・・
「え、じゃあ、あの。外出許可が、欲しいです・・・か、観光、したいので・・・」
「うーん・・・外出、ですか」
途端に険しくなったソロモンの顔から察するに・・・これはダメ、なんだろうかやっぱり。
「そうですね・・・こちらとしても外に出してあげたいのは山々なんですが、僕の一存では決められないので・・・その件については後程連絡します」
「・・・わかりました」
後程・・・いつだろ。その時まで私、無事かなぁ。
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