白いダリアと蒼い薔薇 蜜 7










「・・・ところで、さん」

「はい」

「2つ3つ、お知らせしなければならない事があるんですが・・・宜しいですか?」

「はい、どうぞ?」



今度は慎重な面持ちで問いかけられたので続きを促した。

何の話だろう?私、まだ何かやらかしてたのかな・・・;




「まず始めに、面倒な方からやっちゃいましょう。


 ・・・さん、非常に申し訳無いのですが、貴女を襲ったものについて、出来るだけ詳しく思い出してください」


「・・・え、それはさっき、」


「何が起こったか、については聞きました。ですが、何に襲われたかについてはまだ聞かせてもらってません」


「え、あの、ほんと、入ってすぐだったんで、凄く痛かった事しか」


「・・・あのロックの解除時間の記録からすると、貴女は少なくとも5分はあの中にいたことになります」


「え、と。あ、開けてしまってから、中に入っていいのかわからなくて、外にいたので、」


「扉付近の監視カメラには、そのような様子は映っていませんでしたね」


「・・・・・;」



・・・・あわー・・・逃げられなかったよ!ソロモンったら鋭いね!

てか、監視カメラとかがあったんなら、もっと早く助けてくれてもよかったんじゃ・・・





それにしても、何を話そう?


言葉通りに知ってる事をそのまま喋ったらまずいのはさすがにわかるけど・・・

もしかして知りすぎてたら即処分ってことですか?

そ・・・それは嫌だ!

と、りあえず、当たり障りのない事から少しずつ話していって様子見・・・かな。




「ええと。・・・多分、女性、だったのではないかと」


「女性?何故です?」



とりあえず、状況から判断できたことを話した途端、彼は即座に食いついてきた。

そして言ってから後悔。

判断の理由が・・・・・・胸、とか!言うの恥ずかし過ぎるんですけどー!



・・・あ!まだあった!

声聞いたんだからそっちを主な理由にしちゃえばまだ精神的に楽かも!ナイスアイディア自分!



「む、・・・胸があったので。 あ、あと!声を聞いたので、それで、」


「・・・声、ですか。

 ・・・・・会話、したんですか?」


「会話、というか・・・その、彼女?が喋った声が、女性の様だったので・・・」




・・・あれ?何だかますます食いつきが良くなっていってる気が。

め、目がどんどんマジになって、る?




「・・・彼女は、何と?」




え、い、言わなきゃダメかな!?

もの凄くディーヴァらしいセリフなんだけど・・・!









「『おいしそう』・・・って」


「・・・・・そうですか」




言うなり、またしても黙り込んだソロモン。

これは・・・もしかして、もしかしなくとも・・・墓穴、掘った!?

うああぁあヤバいよ!ソロモンが喋んないよ、怖いよー!!






「・・・・・・・」


「・・・・・;(ひいぃ)」




びくびくしながら彼の出方を伺って数分、経っただろうか。
やっとのことで、彼が重い口を開いた。





「・・・・・実は」



「・・・・・っ」




さあ、何の話が来る!?

翼手?女王?それとも、






・・・ひたっ

(・・・っ!?)



不意に手に感じた感触に驚いて硬直してしまう。

見ると、シーツを握りしめていた私の両手の上に、彼の両手が添えられている。

そして、その掌はそのまま私の両手を包み込んで、ゆるゆると撫で始めた。





「・・・・!?(えええええ!な、なななな何この状況!?)」




「・・・お願いですから、そんなに怖がらないでください。危害を加えるつもりもありません」


「は、・・・はい(別の意味で怖いんですけど・・!)」




一体全体、何の魂胆があってこうなるんですかソロモンさん!?

予測つかない、予測つかないよ!え、何コレどんな展開!!








「で、肝心の話ですが」

「・・・・(手、離してくれないのかな・・・!)」




もしかしてずっとこのままだろうか・・・恥ずかし過ぎて耐えきれない予感がしてきた・・・




「僕は貴女に、ある少女の話をします」



少女。・・・ディーヴァのこと、かな。



「とても突飛な話なんですが、聞いていただけますか?」



「は、い(どの道手握られてちゃ逃げられないって!)」



「・・・実は、さんを襲った女性が何者なのか、そしてその目的も、既にわかっているんです。


 彼女は、      ・・・・・・・・・吸血鬼、なんです」









・・・え。





・・・翼手の女王、じゃないんだ?





「ベトナムで襲ってきたのは、彼女の存在を良しと思わない組織・・・『赤い盾』の者達です。

 対して僕達・・・兄さんや、カールやジェイムズ、それにヴァン、アレンやロナンは、

 彼女を守るために存在する組織の人間なんです。


 ・・・信じる信じないは自由です。ですが、貴女には知っておく権利があると思ったので・・・」




そう言うなり彼は目を伏せる。




「それというのも、彼女・・・ディーヴァというんですが・・・何の因果か、

 この一件で貴女のことをいたく気に入ってしまった様なんです」



「え、い・・・」



・・・・・いたく?


そ、それは・・・危険な香りがしますね?(汗)







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