白いダリアと蒼い薔薇 蜜 2
・・・で。
「・・・・・ええと?」
ぱちくり。
再び瞬きしてみたが、目の前の景色−今は金属製の階段−が消える訳も無く。
・・・じゃあ何だ。これは現実か。
「それとも夢かな・・・」
夢の中で夢ってか。もう混乱通り越して吃驚っていうか自分の妄想力に乾杯って言うか。
え、何?夢遊病か何か?じゃなきゃコレは夢とか。せめてそうであってほしい。
「ここは誰ー私は何処ー・・・。」
取りあえずお決まり定番(?)のセリフを呟いてみる。
・・・反応無し。聞こえる音と言えば、冷たい風と・・・微かな水音?
周囲には鉄製の壁。そして、頭上には満点の星空。
・・・思いっきり、外である。何でだ。
それにしても裸足に金属製の階段はキツい。
最早足の裏の感覚は無い。悪寒だけが脚を這い上って来ている。
・・・とてつもなく、寒い。
は何時の間にか冷え切った身体を無意識に掻き抱いた。
裸足で外の階段。どれもこれも、先程の部屋とは似ても似つかない。
こんなになるまで記憶無いのも絶対おかしい。
というか此処は何処だ。本気で寒いんですけど・・・!
「寒いーさむいーさーむーいー・・・も〜夢なら早く覚めてくれ〜!」
ぶつぶつ愚痴りながらも足を動かし、階段を降りていく。
ここがどこだか知るためには上に行った方が良いのだろうが、
とにかく今は寒くて、少しでも風の来ない場所に行きたかった。
「・・・ここらへんでいっか」
階段を降りるとそこは行き止まりで、何か大きな扉が進路を塞いでいた。
悲しいことに電子ロック済み。ああ、この中なら冷たい風から逃れられるのに!
「電子ロックか・・・大切な物でもあるのかなー」
まあ仮にそうだとしても、私には関係の無いことだけどね。
そして冷たい壁にもたれて座りこむ。
こうしていれば、そのうち誰かが発見してくれるだろう。と思いたい。
「・・・疲れた」
別に誰もいないけど、さみしいから声に出して言ってみる。
というかさっきから独り言ばっかりだよ私。
・・・なんだか余計にさみしくなった気がするけど気にしない。んで、ついでに暇。
・・・。
・・・・・・・。
「・・・・・はあー・・・本気でここ何処?寒いし! 暇だし!
ソロモンもさー、ほったらかしは流石に駄目だろ。あのドア、開いてたから私がここにいる訳でしょ。
・・・や、記憶無いけど。 軟禁するんだったらさ、ちゃんとロックとか掛けとくべきだと思うよ私は。」
とりあえず暇なので文句でも言ってみることにする。
しかし、いくら不満をぶちまけたからといってソロモンが来てくれる訳はない。
それ以前にこの近くにいる確証すらない。
すなわち無駄。よって暇なのには変わりない。
「・・・暇だーヒマだーひーまーすーぎーるー・・・・・あぁもう!」
暇すぎ!!何か面白そうな暇つぶしプリーズ!
「・・おお、こんな所にあったじゃん」
背後を見やって目を輝かせる。
そこには、御大層な電子ロックが光っていた。
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