白いダリアと蒼い薔薇 蜜 1











「・・・・・、・・・?」





ぱちくり。


瞬きを数回繰り返してみたが、目の前は薄暗いままだった。




目の前に広がる天井。枕の感触。




ベトナムの、私に割り当てられた部屋じゃない。


・・・ついでにいうと、元の、私の部屋でもない。






そこまで理解して、はそろそろと緊張状態から抜け出した。









・・・未だに、この『夢』が覚める気配はない。


なんだかんだ言いながら、あれからもう既に・・・何日経ったっけ?




ドアを通って、ソロモンと会って、カールに殺されかけて・・・1日。



農場の見学の途中にソラに会って、ええっとそれから、何かよくわかんない心理テスト受けて、

その夜にシチュー食べて、2日目。



んで、3日目に小夜達が来たんだよね。





爆発、すっごく怖かった・・・!


赤い盾はちゃんとソラを保護してくれたかな。

・・・ロナンさんは、大丈夫かな。

確か眠りに就く直前に聞いたソロモンの言葉。・・・信じて、いいんだろうか。








それにしても。







「・・・なんかもう、正直・・・あり得ない・・・よ、ね」



なんていうか・・・こんな所に来たってだけでも十分凄すぎて何がなんやらだけど

更にその上いきなりソロモンかよ?!初っ端から人外ですか・・・っ!!

しかも部屋貸してもらったしー、一緒に散歩したしー、あ、隣の席に座りもした!

うーわー私ったら超凄いー。(棒読み)



走馬灯さながらに嬉し恥ずかしメモリーの数々に頭の中を駆け巡られては、

それはもうただひたすら赤面するしかない。


だって!

あの、ソロモンにだよ?!


ガラス窓越しに手を合わせられたり、抱き上げられたり・・・!

有り得んだろう、絶対。


夢オチならこれは納得できる。良い夢見させていただきました。

でも、やっぱりこれは夢じゃないっぽい・・・と判断するしかなくなってきた。

普通に痛み感じてるし、思考もはっきりしてるし・・・シチューもおいしかったし。


いやいや、もしかするとそういう夢なのかもー・・







・・うん、わかんない。考えるのは止めよ。取りあえず死ななきゃ良いか。

もし夢だったとしても、死んで目が覚めるなんて、気持ちよくないしねー。


・・・ていうかそもそもここは何処。






ようやく、このぐるぐると終わりを見せない思考を振り切って現状確認をしてみただったが、

恐る恐る上半身を起こして周りを見渡しても、照明の落ちた部屋の中らしく、

視認できる物といったら、大きなカーテンの隙間から零れる月のひかりぐらいだった。







手足は動く・・から、特に拘束されてる訳じゃないみたいだけど、あそこのドアは閉まってる、のかな?


薄暗闇の向こうにぼんやり見えるドア。

試しに起き上がって床に足をつけると、

フローリングではなく、カーペットみたいな、ふわふわした感触を裸足に感じた。


・・・どっかのホテルの一室だったりするのだろうか。





「・・・・・あ!そう言えば服・・・?! あ、良かった普通のパジャマだ」

これでまだあの破廉恥(?)なやつのままだったりしたら恥ずかしすぎる。

あんな格好は金輪際するもんか・・・とは言っても何時もいつの間にか着替えさせられてるからなあ・・・







そろり、と右足を前に出し、ぺたし、と下ろしてみる。…痛みとかは無い。


じゃあ大丈夫かな。

そう思ってもう一歩を踏み出したのに・・・





「・・・・っうぁ?!」



返ってきたのは強い目眩だった。








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