白いダリアと蒼い薔薇 宙 12
「・・・・・・っ!?」
え・・・え――――?!な、何あれ、何なんだ一体?!
・・翼手を倒せるのは小夜の血だけじゃ無かったっけ?!
それともあの黒い液体が小夜の血・・・じゃないよな、触れてすらいないし。
え、うわ、本当に凄くないかこの薬?!
「おー、いつもながら凄いね、アレンの最高傑作!完璧!」
「え、そうか? いやー照れる・・ってそんな場合じゃ無いから!ほら早く脱出!!」
「はいはい。・・あ、その前に様、・・・・・あ、そうか。う〜ん・・・」
「? 何でしょう・・・?」
呼んでから考え込まれても。
ていうか、さっきの薬については何も無かったかの様に会話してるけど、何なんだあの二人。
デルタ67のことを知ってるん・・だよね?多分。
なら、さっきの・・シュバルツ? だっけ。それって、物凄く画期的な薬・・・だよなあ。
ソロモンは知ってるのかなぁ? でもその場合だとストーリーが大幅に変わることに・・・
「様〜様ったらー」
「はい?・・・っむぐ」
うーんうーんと悩んでいた私。
とんとん、と肩を叩かれ呼ばれ振り向いた・・ら背後から口を塞がれた。は?!何?!!
目の前にはちっちゃなメモ用紙に一言、
『今のはソロモンCEOには内緒v』
・・・とだけ書かれている。・・・内緒?何故に?しかも喋るなって?
「いいですか?」
とりあえずこくこくと頷くと手を離してくれたけど、ほとんど強制に近かっただろ今のは。
加えて、今さっきのメモ用紙を小さく、小さく折りたたんだロナンさんは、
それをごっくんと飲み込んだ・・・証拠隠滅?! ・・なんて入念な。
「よしっオッケー!」「遅い!終わったんなら行くぞ!」
再び走る。やあっと出口が見えた! 長かったぁー!!!
「CEO、様を連れて来ましたー。」
「はい、有難うございますロナン、アレン。しかし、随分と手間取ったようですね?」
「いっやぁ〜それがまた二回も荷物忘れてて往復してたんですよーあっはっは!」
いやいや笑い事じゃ無いって。思いっきり危険だったじゃん。
・・・で、ええと。次は何が起こったっけ。
さっきのガラスが割れる音、あれの後は確か・・・
ドンッ!!!
「・・・っつ!」
クララさんが手榴弾?を使った、あの爆発が遂に来た。
ああ、ほんっとーに危機一髪だったのか。大分もたもたしてたからなあ・・・
・・・ソラ、大丈夫だといいけど。
衝撃によたよたしてたらソロモンが支えてくれた。
「あ、有難う御座います・・」
「いえいえ。こちらこそ朝から慌しくてすみません」
・・・って嫌に冷静だなオイ。
ロナンさんはまだ落ち着いてる方だけど、
アレンさんとかヴァンとかはもういっぱいいっぱいに見えるよ・・大丈夫かな。
「ぎゃー爆発?!」
「まさか爆破とはねぇ。やるなあ相手も」
「今あそこでは・・・何が起きているんですか?!」
「それは・・・あの人からお聞きになった方が宜しいかも知れません」
あ、カール(再びファントムver.)の登場ー。
「カール?! 君は何をしているんだ?!」
「・・・・・」
「うっわ無視った! 酷ぇー」
「はいはいアレン。ちょっと黙っとこうね」
・・・確かに酷いよなあ、カール。何も無言で返すことは無いじゃん。
ていうか工場長があんなカッコで現れたら誰だってびっくりだよ。
「・・・少しで・・・れたのにっ!・・・・・何故止めたぁっ!!!」
「・・・・・・『でしょう?』」
「・・・・・・」
「・・・『を』・・『方が』・・・・・『兄さん』・・」
・・・・・。 うーん?
これってアレだよね、声を出さずに会話する?ってやつ。
実際には「・・・」ばっかりで周りの人間がはてなマークをぴょこぴょこ立てちゃうアレ。
・・・それが。
なんっか聞こえるんだけど。所々。・・・・・・・・・・げ、幻聴?錯覚??
「・・っだからこそ早くディーヴァを動かせ!あいつ等は間もなく此処に・・・!!」
勢い良く振り向くカール。っておおお主人公'ズ(?)の登場シーンじゃん、この世界初の!!!
うっわあ小夜スプラッタ!ハジ格好良いよ!デヴィッドさん渋!!
「!! まさか・・・サムライマン?!」
「へーアレが噂の」
「マンって言うから男だと思ってた・・」
上からヴァン、ロナンさん、アレンさん。
・・・あとの二人の緊張感の無さが凄いよね。
っていうか何処まで原作に絡んでくる気だこの護衛二人は。
本当に私のせいでいろいろ変わっちゃって来てるよなあ・・・;
小夜が何か驚いたような顔をした、気がする。
ああ、このままだったらソロ小夜もアリだったのに・・なんであんなに拒否しちゃうかな。
悶々と考え込む。
その肩をロナンさんが抱くのと同時に、ソロモンが後ろを向いて歩き出す。
「カール。 くれぐれも・・」
「分かっている」
そしてそれとは反対方向に・・・・誘導されていく私。
目の前には、二号機のヘリ。
・・・・・あれっ?
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