白いダリアと蒼い薔薇 宙 6






















たまらずソロモンの顔をうかがったが、

「分からなかったらとばしてくださいね」と微笑まれて終わってしまった。

いやいや、分からなかったらって・・それ以前に、分かるレベルか、コレ?!



悩んでいても仕方がないのでとりあえず第二問を見つめることにする。

ヒエログリフって奴かなあ。そりゃまあ、見たことぐらいはあるけどさ・・・





・・・・・・『二階、階段脇のトイレ』




ふーん、トイレね。二階の階段脇の・・・







「・・・・・・・・・・・・は?」



予想外に大きな声が出た。


怪訝な顔をするソロモンにあははと笑ってなんでもないですと誤魔化し、

もう一度第二問を見る。




『二階、階段脇のトイレ』




・・・もう、そうとしか読めなかった。

自分の脳がおかしくなってしまったのだろうか。

しかしまあ、そのほかに出てくる答えがあるはずも無い。


仕方なく、読めたその通りに書いた。








改めて一問目。


相変わらず1,2,3の羅列だが、ぼんやり眺めていると。




『今日の献立・簡単に作れる海鮮サラダと冷製ポテトスープ』



・・・つくり方、教えてください。















―――結局、全部で五枚あった紙の問題、全てがそんな感じだった。



『ナイル川5丁目』だの、

『今となっては遠い・・・あの夏の夕日』だの意味不明な言葉が、

ぼんやり問題を見ていると、頭に浮かんでくるのだ。





おかしい。

おかしすぎる。

最後の解答欄に『敵はマサチューセッツ州にあり』と書き込んで、問題文を睨む。



第十問・・・1と0が並ぶ真ん中に唯一日本語で、「敵は本能寺にあり」と書かれていた。











「終わりましたか?」

回収しようと差し出された手におずおずとボードとペンを渡した。


反応が怖い。

あんなこと書いて、ふざけてるのかと思われるに違いない!




ボードを取り上げて一枚目を眺めるソロモン。

わずかな沈黙。



・・・その一瞬の後に、彼の目は驚きに見開かれた。



「・・・・・なっ」


ぺらぺらぺら。


全ての回答を確認していく。

時折「そんな・・・」とか「ありえない・・!」とか聞こえる。



なんだなんだ?何にそんなに驚くのだろう。



浮かんだはてなマークが消えないうちに、ソロモンの方は確認をし終えたようだ。



「・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・」




続く沈黙が痛いです。






「あのぅ・・・・?」


「・・・っあ、ああ、そうですね、これでOKです」


お疲れ様でした、と立ち上がり、ボードを机の上に置いた。

それを見つめてしまう視線を自ら断ち切るように、ソロモンは窓の方を見る。


「それにしても・・随分時間がたってしまいましたね。そろそろ夕食にしますか?」

「え? うわあ!もう夕方?!」


窓の外にはいつの間にか、綺麗な夕焼けが広がっていた。



結局今日は小夜、来なかったな。










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